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ブリッグス・ローシャー反応の観察

(Briggs-Rauscher反応)

反応途中の写真1 、写真2
反応中、時間と共に色がどんどん変化します。

文章を書いた人:山本明

観察した日 2005年10月24日  (月)
天候 晴れ   

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 化学反応というと、薬品を混ぜたら目に見える変化がすぐ起こるかつすぐに反応は落ち着くという印象を、私は持っていました。
 だけど、そうじゃない反応もあるのですね。

 先日、「振動反応」とか「周期反応」と呼ばれるものを目にする機会がありました。 自分の目で見ると、とても新鮮で面白くて、思わず歓声を上げてしまうほどでした。

 そういった振動反応では、「ベローゾフ・ジャボチンスキー(Belousov-Zhabotinsky)反応」と呼ばれるものが、最もポピュラーなようですが、先日の実験ではどうもうまく反応を観察できませんでした。
 それと同時に実験した「ブリッグス・ローシャー(Briggs-Rauscher)反応」の方は、動画撮影まですることができましたので、ホームページに載せておこうと思います。

 ネットで検索してもなかなか映像まで載っているところを発見できなかったので、ひょっとすると誰かの役に立てるかなぁ…と期待します。(そもそもこのページが検索に掛かるかは疑問ですけど)

 なお筆者は化学についてとても疎いので、記述に間違いがあるかもしれない(きっとある!)ということは、ご承知おきください。間違いを発見されましたら、どうぞ優しくご教授くださいませ。


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1 反応の概要

 「ブリッグス・ローシャー(Briggs-Rauscher)反応」で使った薬剤については後述します。要は、複数の溶液を混ぜることにより、複数の化学反応が同時に起こり、ヨウ素( $ \mathrm{I_2}$ )が発生したり消滅したりを数秒間隔で繰り返すという反応です。

 ヨウ素の変化を視覚的に捉えるために、デンプンも混ぜておきます。すると、ヨウ素が発生しているときは紫色になり、ヨウ素がなくなっているときは透明になる…と、変化するのです。(…たぶん。)

 それではまずダウンロード環境に恵まれてる人は、早速ダウンロードして見てみてください。

2 動画をダウンロード

下記より、どうぞ。(映像は約6分)

BR2005.mov (QuickTime) 4.1MB (画像サイズは240x170)
BR2005.mp4 (Mpeg4) 10.1MB (画像サイズは352x288)

どちらも同じ内容です!(違いはファイルサイズと圧縮形式)

ダウンロードが面倒という方は、先に次の写真をご覧になりますか??

3 写真で反応を眺める

動画の方が面白いでしょうけど、先に雰囲気を掴みたいという方へ。 写真をどうぞ。

すでに動画を見た方は、軽く眺めて、反応を思い出してください。

あれ? 過酸化水素水を入れた(0秒)
写真を 7秒後
ご覧に 12秒後
なれない 13秒後
環境 19秒後
ですか?? 21秒後
23秒後
26秒後
29秒後
30秒後
32秒後
36秒後
38秒後
40秒後
41秒後
$ \vdots$  

ここまで、わずか40秒ちょっと。
だんだん色の変化は鈍り、最後はヨウ素がたくさんになって、反応はおしまい。(…たぶん) 所要時間は5分程度。


4 実験の手順

 それでは改めて、どんな手順で行った実験なのかというと、次のようなことを行いました。

ブリッグス・ローシャー(Briggs-Rauscher)反応

  1. 溶液の準備
  2. 反応を観察


5 なにが起きているのか

 溶液の中でどんな反応が起きているのか。私は化学実験の講義を受講していたのですが、次の5つの反応が起きていると聞きました。

\begin{displaymath}
\left\{
\begin{array}{ccl}
\ensuremath{\mathrm{
2IO_3{}^-+5...
...tarrow &
\ensuremath{\mathrm{
I_2+2H_2O
}}
\end{array}\right.
\end{displaymath}

 なんか2つ目の式は電気的に両辺がつり合っていなくて、ほんまかいな…と疑ってしまいそうですが、この式と同時にどこかでなにか電子が移動しているのだと、前向きに解釈しておきましょう。(正しい考え方をご存じの方は、教えてください)

なにが起きてるか

 それでは溶液中でどんな現象が起きているのか考えてみましょう。以下の文章は、上記5つの式を提示されて私が考えた内容です。(だから間違ってるかもしれません!)

 まず過酸化水素水を注入した時点では、1行目の反応

$\displaystyle \ensuremath{\mathrm{ 2IO_3{}^-+5H_2O_2+2H^+ }}
\rightarrow
\ensuremath{\mathrm{ I_2+5O_2\uparrow +6H_2O}}
$

が起きるでしょう。これで過酸化水素水を注入してすぐにヨウ素( $ \mathrm{I_2}$ )が発生=ヨウ素-デンプン反応で少し色づく。
 だけどここで紫色にならないのは、続いてほぼ同時に2行目と3行目の反応

\begin{displaymath}
\left\{
\begin{array}{ccl}
\ensuremath{\mathrm{
CH_2(COOH)_...
...remath{\mathrm{
2I^-+CO_2\uparrow +2H^+
}}
\end{array}\right.
\end{displaymath}

が進んでいくからでしょう。この反応が進んでいくと、 $ \mathrm{I_2}$ は減り、 $ \mathrm{I^-}$ の濃度が上がります。(=紫色は消える)
 そして $ \mathrm{I^-}$ の濃度が上がれば、4行目と5行目の反応

\begin{displaymath}
\left\{
\begin{array}{ccl}
\ensuremath{\mathrm{
5I^-+IO_3^-...
...tarrow &
\ensuremath{\mathrm{
I_2+2H_2O
}}
\end{array}\right.
\end{displaymath}

が進展すると期待できますね。 これらの反応で、再び $ \mathrm{I_2}$ の濃度が増えて、溶液は紫色になり、2行目と3行目の反応へ戻る。2行目と3行目の反応では $ \mathrm{I_2}$ は減って…。

 これらを繰り返すことで、 $ \mathrm{I_2}$ 濃度が周期的に変化したと考えることができそうです。 これをヨウ素-デンプン反応で視覚的に捉えていたということでしょう。
 最終的には、 $ \mathrm{ I_2+H_2O}$ と、混ぜた薬品に依存して、なにやら生成物が残りそうです。


6 用語の解説など

「振動反応」というのは、「周期反応」で特に周期の短いものを指す言葉だそうです。

 そして周期反応とは、

ある反応が進行してその生成物が増加すると、それによって第二の反応が起こり、その反応生成物がまた最初の反応を促す…というように複数の反応が関連しあって、ある周期で振動するような反応。その周期が短いものを振動反応という。
とのことです。


7 参考文献


この文書について...

ブリッグス・ローシャー(Briggs-Rauscher)反応の観察

この文書はLaTeX2HTML 翻訳プログラム Version 2002-2-1 (1.71)

Copyright © 1993, 1994, 1995, 1996, Nikos Drakos, Computer Based Learning Unit, University of Leeds,
Copyright © 1997, 1998, 1999, Ross Moore, Mathematics Department, Macquarie University, Sydney.

日本語化したもの( 2002-2-1 (1.71) JA patch-1.9 版)

Copyright © 1998, 1999, Kenshi Muto, Debian Project.

Copyright © 2000, Jun Nishii, Project Vine.

Copyright © 2001, 2002, Shige TAKENO, Niigata Inst.Tech.

Copyright © 2002, KOBAYASHI R. Taizo, Project Vine.

を用いて生成されました。

コマンド行は以下の通りでした。:
latex2html BRshindou.

翻訳は 山本明 によって 平成17年11月5日 に実行されました。



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