この冊子では神がかり的な直観(?)で、
特にこの一番右の、固有ベクトルの方向を座標軸とするような空間への変換行列
を求める作業、自分の文章ながら説得力不足という気がして仕方ありません。
の行列までなら、こういう直観的なやり方で苦労はしないのですが、
の行列ではかなり大変でした。
実際、私は答えを先に作っておいてから行列
の形を導入したのだから、ほと
んど反則をしています。
この変換行列を求める方法、 浪人の頃はもっと機械的な作業でやっていた気がするんだけどなぁ… と、この行列群を眺めていました。
すると一番右の変換行列じゃなくて、その逆行列-- 一番左の行列 --から不思 議な印象を受けました。 一番左の行列って、元の行列の固有ベクトルを左から順に並べたものになってい ますねぇ…。
の行列の式に注目してみると、固有値
に対応する固有ベクトル
が1列目にあって、2列目は固有値
に対応する固有ベクトル
が現れています。
の行列の場合でも同じことが言えます。
変換行列の逆行列(一番左の式)は、
固有値
に対応する固有ベクトル
、
固有値
に対応する固有ベクトル
、
固有値
に対応する固有ベクトル
を順に並べたものになっています。
そう眺めてから考えてみると、この「固有ベクトルを順に並べた行列が一番左に くる」というルールは、どんなときでも成り立ちそうです。 以下ではその理由を考えてみましょう。
という元のデカルト座標系から、固有ベクトルの方向へ移る変換行列
を
と書くことにしましょう。ここではまだ
の具体的な形はわかっておらず、
行列
の固有ベクトルだけは求めたという状態とします。
(議論の大筋に関係ないので、
とか
といった分数の
部分は書かずに話を進めます)
を固有ベクトルに作用させてみましょう。
このように取り決めて、出してきた式をまとめて行列で表記すると、
という結論、もしくは同じ意味ですが、
ということを主張できます。
そんなわけで、固有ベクトルの方向を軸とするような空間への変換行列を求めた いというとき、
ということが言えます。
これで、もっと行や列の数が増えたときでも、機械的に変換行列を求めることが できるようになり…ましたよね??