小話のページ


小話「私の時間厳守」

 これは昨日のお話。

=============

 人と待ち合わせの約束があった。
 私にしては珍しく(…)、待ち合わせ時間よりも早く到着しようと思い、 乗る電車など念入りに調べておいた。
 普段も待ち合わせ時間より早く着くように計画しているが、その計画 は「どうせ予定より10分遅れて出発するだろう…」などという自分の いいかげんさを考慮に入れただけのもの。
 しかし、今回のは違う。
 なんといっても、「どんなに遅れても、約束の1時間以上前に着くよう に」計画していたのだ。

 −−なんて珍しいことっ!!

 そう思ったのは俺だけではなかったらしい。
 出発の時間になって、大雨……どころか、落雷を伴う豪雨が襲って来た。

 ・・・どうしろというの?
 寮の玄関で逡巡することしばし。
 しかし、せっかく早く着くように計画してたし、早く行って、やりたい こともあるのだ。意を決して、出発した。
 遠くで神鳴りの音も聞こえる。出発時よりも遠ざかってはいるようだ。 稲光を遠くに感じつつ、一路駅へ向かう。
 雨はどんどんひどくなり、傘は差しててもズボンびしょ濡れ、上着も だいぶ濡れてきた。
 途中スーパーなどで雨宿りをしつつ、引き返そうか…という気持ちを 叱咤しつつ、駅へ向かう・・・と、川ができていた。
 川−−元は道路なんだけど、完全に水浸し。流れまである即席の川が、 駅への最後の難関であった。
 これまた迷うこと、しばし。
 だって、くるぶしのあたりまでらくらく浸かれる深さ。
 雨に濡れました、のレベルではない。
 どないせいっちゅーんじゃ…
 しかし今更、引き返すのも癪だし、もう十分、靴も浸水している。
 半ばヤケになって、そのまま渡った。
 とにかく、駅に着けばこっちのもんだ。
 あとは電車の中で自然に乾くのを待てばいいんだ!!−−が。

「ただいま、田園都市線では落雷と豪雨の影響で、全線不通になっております」

 ・・・冗談だろ???
 運転再開の見通しは立っていないという。
 意地になってホームまでいったら、停電で動けなくなってる電車が ホームに入っていた。その車両の中で座って待っていたが、バッテリー の節約のために、段階を追って消えていく車内蛍光灯がもの悲しさを 醸し出していた…
 かなり嫌だったのは、5〜10分ごとに放送される「先ほど入りまし た情報によると、復旧まであと30分ほど、かかる見通しです」のアナ ウンス。
 …いつまで経っても「あと30分」が減らないじゃないかっ!
 だんだん本気で腹が立ってきていたが、50分くらい待ってるとよう やく復旧できたようだ。
 電車は1時間と4分遅れて、青葉台の駅を出発した。快速列車に乗る はずだったけど、当然鈍行。まあ動いただけマシだけど…
 結局、待ち合わせ時間に40分以上遅刻してしまいました(一部、乗 り換えの判断ミスあり)。
 …どうやら俺は、待ち合わせ時間には遅れる運命に生まれて来たよう だ・・・と、言い訳のような開き直りのようなことを考えた次第です。


 ・・・ちなみに。
 帰りはもっと酷かった。
 寮に帰ろうと電車に乗っていたら、車内アナウンス

「本日、落雷の影響で、溝の口から先、運転を取り止めております」

 と、取り止めってなんやねん!
 見合わせっつーと、これから先動きそうな意味があるけど、すっぱ りさっぱり諦めてるっちゅーことかい!!
 結局、急きょ行き先を大学に変更。終電ぎりぎりの時間で大学に 到着。
 なんだかんだとあって、ちょっと風邪を引いてしまったみたい。
 のどが痛くて頭がふらふら。今日はもう帰って寝ます…

(2001.7.26)

小話の目次へ 
ホームページトップへ