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小話「さばに付いていた“それ”」

 さばの照り焼き258円――5割引
 これが今晩のおかず。
 もともと今日はお弁当を作るつもりはなかった。
 しかしちょっとした計算違いで、食材がたくさん残っていたのだ。計算違いもなにも、単に想定外の安売りがあって、大目に買い置きを作ったってだけだけど…
 まあ理由はさておき、野菜が余っている。早くたくさん使わないと、せっかくの野菜が悪くなってしまう。
 そんなわけで予定変更、今日はお弁当――野菜炒め。私の野菜炒めは半端じゃない。どう半端じゃないかというと、「肉がない」のである。文字通りの野菜炒め。なので主菜は別に作る必要がある。
 だが、今日は主菜まで作る気にはならない。そこで、閉店間際のお店に入っていって、冒頭のおかずを手に入れた。
 さばの照り焼き、2尾。
 お弁当のおかずとしては上出来。量としては1尾で十分。
 “エサを埋めとく犬のように”残りの1尾は「明日の朝ご飯にしよう!」と思った。もちろん消費期限は今日中なのだが、たかだか7、8時間期限過ぎたからってどうってこともあるまい。ちゃんと冷蔵庫に入れておくし。
 寮に戻り、エサを埋めに…じゃなくて、さばをしまいに行こうとしたところで、私は足を止めた。“それ”を発見してしまったからだ。
 ・・・
 ・・・・
 ・・・・・
 ・・この「5割引」の札、外しとこっと…
 寮というのは集団生活の場である。どこで見られているかわからないのだ!
 ・・・おっとと、下の「2割引」も外しとかなくっちゃ!!

(2001.4.28)

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