小話のページ


小話「散髪」

 先週末、用事があって実家に戻った。
 しかし1つの用事のためだけに、交通費を掛けて帰るのもどこか悔しい。そこでついでに散髪も済ませてくることにした。
 実家の近くにとにかく安い散髪店があるのだ。
 前に切りにいったのは9月くらいだったろうか。忙しさにかまけて、2ヵ月近くほったらかし。かなりうっとおしくなってきていた。
 さらに今後は修士論文の関係で、おそらく髪を切りにいく余裕なんてないだろう。
 今を逃すと来年の2月まで切りに行けないに違いない!

 外出する気をなくすような雨であったが、散髪店は大盛況。しばらく待った後にようやく順番がきて席に座った。
「どれくらい切りますか?」
 まあどこに行っても聞かれる質問だね。私は決まって「短くしてください。前髪が眉毛にかからないくらいに」などと答える。――が、今回は変えてみた。
「短くしてください。来年の2月下旬まで切りに来なくて済むくらいに」
 …店員さん、絶句。
「そ、それは――丸刈りにするのが一番確実ですが…」

 それはイヤ。


(2001.11.6)


小話の目次へ 
ホームページトップへ