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研究室の最新冷房設備

 昨晩、私の下宿でもようやく冷房器具を導入しました。最新の冷房設備――自動送風機(いわゆる“扇風機”)です。もう暑さに耐えきれなくなっちゃって。やはり手動送風機(いわゆる“うちわ”)とは違って楽チンですね。なにもしないで空気の対流が生まれるなんて画期的です。

 いや、実は冗談でなくそう思ってます。体の周りのねっとりした空気を払いのけてくれるだけで、随分涼しくなります。
 冷房はあまり好きじゃないんですよね。涼しくなるのはありがたいんだけど、無駄にエネルギーを使いすぎてる気がしちゃって。だって、部屋の温度を下げるために、それ以上の熱を外に排出しているわけでしょ。これだけで外の温度上昇にどれだけ貢献していることか。
 扇風機もエネルギーを使うのは変わらないけど、少なくとも外への熱の放出はない。その点、気に入っています。・・・ま、そもそも我が下宿には冷房機なんて存在してませんが。

 で、大学の研究室にひとり残っているときってのが、ちょっと悩みの種なんですよね。

 他の人がいるときはたいてい冷房機を使っているんですが、私一人のためにそこまでするのは無駄すぎるし。しかし窓を全開にして部屋の扉を開けてても、なかなか風が通らずに汗が滲み出てきたりします。
 そんなことで集中できなくなっても仕方ないので、風が通らないときは冷房を使っちゃってます。
 設定温度27、8度が電力消費が最も少なくて済むという“でんこちゃん”の言葉を信じて、設定温度は28度。で、寒くなったら切り、暑くなったらまた付けて…の繰り返し。
 それにしたって、やっぱり一人のために外に熱を放出しているのは心苦しいです。うーん、こんなときに大学にも自動送風機があれば・・・と思っていたら、ありました! なんと棚の上には、古めかしい自動送風機。そのまま使ったら病気になりそうなくらい、汚れていますが…

 これは私のためにあるんでしょう!(だって他の人は見向きもしてないし、ここ2年間使っているところを目撃していません)

 ここはひとつ、棚から下ろして、私の机の横に置くことにしましょう。汚れは落とせば済むわけです。これで一人の時の冷房にも困りません。

 で、椅子を足場に棚の上を覗きました。愛しの自動送風機――は、ほこりに埋もれていました。そして周りのコード類を避けて下におろそうと・・・しても、なぜか持ち上がりません。って、よく見たらコンセントがどっかに繋がってる??

 どうやら、棚の上に置いてあったのは、数年前までこの場で働いていたということみたいです。棚の上から部屋全体に風を送る役目。その役目を終えてからも、コンセントは繋ぎっぱなしだったのでしょう。
 試しにスイッチを入れてみると、案の定、首振りで動き始めました。
 これはなかなかいい調子です。私の席まで風が届きます。ここ数年…というか10年近く使われていなかったような様子ですが、まだまだ働いてもらえそうです。

 さすがにほこりに埋もれたままの状態で動かしていると、あぶない病気になりそうなので、羽などの掃除はしておくことにしました。雑巾拭き・・・雑巾真っ黒×3。…なんとか、動かしても問題なさそうなぐらいには綺麗になりました。

 いやー、掃除すると暑くなりますよね。

 あまりにも暑いんで冷房を…なんてオチじゃないですよ。せっかく掃除したんですから、当然、自動送風機の出番です。この際、「強」で動かしちゃいましょう。
 いやはや、快適、快適。
 もう空気の対流があるってステキ。

 まあ扇風機からの風が当たるとなぜか咳き込んじゃうってのは、多分、気のせいですよね。

 

(2002.7.27)


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