小話・我が部屋
小さいころから、私は寒さに強いほうでした。小学校では1年間ずっと半ズボンで登校するという子供。高校では年間通して夏服で過ごしたりしました。
そんな私ですが、今の下宿に引っ越してきて、不安が一つ。
それは――この冬の寒さをしのげるかどうか、です。
寒さはそれほど苦にならない…と思っていたのですが、引っ越してすぐの3月ごろ、たたみでうたた寝してしまったことがあります。
外はもうポカポカ陽気の頃だったと思うのですが、夕方になり夜になり、寒さで目が覚めてしまったのです。なんでこんなに体温が奪われるのかさっぱりわからなかったのですが、布団にくるまって眠りました。
後日、気が付いたのは「この部屋のすきま風はすごい」ということです。
すごいというか、窓の立て付けの関係ですき間が目に見えてます。っつーか、ちゃんと密閉されない構造になっています。
まあ、安さだけが売りの下宿ですから、すきま風くらい覚悟の上だったんですが、その効果たるや想像以上でした。
これで冬場になったら、どれほどのものか…かなり不安になりました。
さて3月にそのような不安を抱きつつ、ついにその冬がやってこようとしています。
まだ秋口ですが、案の定、夜の寒さが身にしみるようになってきたので、冬用布団で眠るようになりました。
さすがに冬用布団ならば、寒くありません。布団の中は。
朝が来ました。
起きなければなりません。
しかしすぐに起きられるなら苦労はありません。ここは二度寝といきましょう。
起きようとする意思を示すために、腕だけ布団から出して、再び眠りの国へ・・・
・・・寒さで眠りの国から戻ってきました。
はっきり言って、二度寝できないくらい寒いというのはありがた迷惑です。
しかしまあ仕方ないというか、せっかく起きてしまったのだから、そのまま活動を始めることにしました。
布団を片付けて、朝ご飯の支度です。
雨戸も開けることにしました。
ただでさえ寒い部屋ですから、この際、窓を開けて空気の入れ換えもしてしまおうと思ったのです。
そのせいでさらに寒くなったとしても、タカが知れているってもんです。
窓を開け、雨戸を開けました。
びゅう――っと風が吹き抜け・・・ません。
・・・・・。
窓を開けても、室温の変化なし。
自分の寝ていた環境に言葉を失いました。
(2002.9月下旬?)