これは[物理屋さん]山本屋本舗 提供の解説記事です。この記事の目次はこちら

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なにを書きたいのか

行列の勉強をすると必ず出くわすのは「固有値を求める」「固有ベクトルを求め る」という作業です。 だけど苦労して求めた固有値とか固有ベクトルがどういうものなのか、よくイメー ジもできないままってことも多いと思います。 そこで、ここでは特に$ 3\times 3$正方行列までを例として取り挙げて、固有値と 固有ベクトルが幾何学的にどういう意味を持つものなのかを考えてみたいと思い ます。

最初に主張を述べておきましょう。 この冊子で言いたいのは、

ある行列をベクトルに作用させたとき、その結果のベクトルは、 各固有ベクトルの方向にそれぞれ対応する固有値倍されている。
ということです。このことって当たり前だ! --と思いますか? もし当たり前だ と思うのでしたら、その方にこの冊子は必要ありません。 読むのをここで止めることをお勧めいたします。



蛇足?: そもそも固有値/固有ベクトルって?

$ A$というように大文字で書いたら、行列を表わしているとします。 さらにベクトルは矢印を上に付けて、$ \vec{x}$といったように表わします。 小文字で$ a$と書いたら、それは行列ではなくて、ただの数(スカラー)を表わす という約束にしておきます。

そうすると固有値と固有ベクトルというのは、ある行列$ A$が与えられていると き、その$ A$に対して

$\displaystyle A\vec{x}=a\vec{x}
$

を成立させるような$ a$の値(=固有値)と$ \vec{x}$(=固有ベクトル)のことです。

この $ A\vec{x}=a\vec{x} $という関係式を成り立たせるように、都合の良い$ a$$ \vec{x}$を求めるのが「固有値を求める/固有ベクトルを求める」ということ です。


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平成17年8月29日