2005年2月28日
2005年11月12日(書き足し)
友人の結婚披露宴で、スピーチをやらせてもらうことになりました。友人代表に指名してもらえるなんて、とっても光栄なことなんだけど、披露宴の参加者を確認したら思ってた以上にフォーマルな方ばかりで、かなり焦りました。若い人が多いならば少しくだけた話し方にしようと思っていたのですが、当初の構想を変更して、比較的オーソドックスな形式のスピーチにしようと心がけました。
なんとか責任も果たし、友人にも喜んでもらえたようなのですが、思い返すと私はひどいミスを犯していました。その反省点と、今回、台本を作るためにいろいろ考えた要点などを、後々のためにまとめておこうと思います。
(ページ内へのリンク)
・大前提を確認 〜誰のためのスピーチか
・ネタ出しのコツ?
・基本となる流れ
大事な注意点
・言い回しの注意点1「敬語」(重要!)
・スピーチするときの注意点 (重要!)
・言い回しの注意点2「忌み言葉」
・くどいけど、話すときの注意
・台本ができたら…
・ひょっとすると話すときのコツ
・本番でのもう一工夫
・言い換え方の工夫
・最後にもう一度、前提を確認
文例を検索してみよう
披露宴でのスピーチ、要は新郎新婦に対して「おめでとう!」の気持ちさえ伝わればOKなのです。拙い言葉、訥々とした喋り方であっても、気持ちさえこもっていれば、最低限の要求は満たしているはずです。
…そう開き直って、少し心を軽くしておきましょう。
新郎新婦への祝福の気持ちが伝わればよい、と書きましたが、実際スピーチを聴く人はなにを期待するでしょうか?
これはひょっとすると私に限ったことなのかもしれませんが、私が従姉の結婚披露宴に参列したとき“新郎の友人代表スピーチ”に対して「新郎がどんな人物であるか、それを知るヒントが欲しい」と思って、聞いていました。つまり新郎の友人代表スピーチでは、新郎が付き合っている友人の姿を見て、新郎の人となりを想像しようとするわけです。同じように新婦の友人代表スピーチには、その友人を見つつ新婦の人柄を推し量ろう…と試みるのです。
同じように考える参列者は、私以外にも案外多いのではないかと思います。
となると、友人代表のスピーチというのは、新郎新婦へ祝福を述べるふりをしながら、新婦の親族(もしくは新郎の親族)に向けた言葉であり、新郎(もしくは新婦)がどんな人物であるかを伝えるためにあるのかなぁ…と、それが私の結論になりました。
スピーチの目的は、 「新郎(か新婦)の人物紹介」 と考えることにしました。
コツというほどでもありませんが、手順としてはこんなものかな…と。
あとは、そのグループのストーリーに沿って、人物紹介を行っていく。
どんな話にも王道と言われる話の筋道がありそうです。必ずそれに沿っていないといけないわけじゃないけれど、ある程度、聞きやすいと思われるであろう話の展開法です。
そういう定番となる筋道を知っていれば、わざとそこから少しずらしてみる…なんていう使い方もできるはず。
いろいろ考えてみて、私としては次のような筋道が定番かなぁと思いました。
このような流れが最も無難な形かなと思いました。あとは柔軟に、これを変形していけばよいでしょう。
ちなみに、礼儀として忘れてはいけないだろうなと思うのが、自己紹介。話を聞く人は、きっと「誰が話しているのか」「新郎・新婦のどちらの友人なのか」「どういう関係なのか」ということを知りたいだろうと思います。
話すエピソードが他の友人代表の方と重なるわけにいきません。重なると本番直前に焦ることになるでしょう。
そこでスピーチを頼まれた時点で、他の話者は誰がいるのか確認しておきましょう。誰が喋るのかを知っていれば、誰がどんなことを喋りそうか予想ができると思います。
また、参列者の年代や人数によっても、堅い話が好まれたり、リラックスした話が好まれたりと、変化するはずです。これまた、スピーチを頼まれた時点で、確認をしておきましょう。
ここまでのところで、一度、台本を書いてみましょう。
それができたら、細かい文章表現の確認です。
ここの項を書くために、私はこの文章を書き始めたようなものです。
…はい、私は敬語の使い方を1回、間違えてしまったのです。
今後そのようなことがないよう、自戒を込めてここに記しておきます。
フォーマルなスピーチをするときは、特に注意しましょう。フォーマルでないスピーチであっても、これくらいは守るのが礼儀だろうなと思います。
敬語には、大きく分けて2種類あります。「尊敬語」と「謙譲語」です。(今回、丁寧語については置いておきます。)
そんな言葉は学校の文法の時間に習ったけれど、違いはよく覚えていない!かもしれません。
披露宴でのスピーチに関して、ごく端的に言ってしまうと、「スピーチしている本人の行動」は「謙譲語」で話して、「新郎新婦の行動」は「尊敬語」にするのが原則でしょう。
使いそうな5つの言葉について、「尊敬語」と「謙譲語」を以下に書いておきます。
普通の言葉 | <尊敬語> | <謙譲語> |
---|---|---|
新郎新婦が | 私(話者)が | |
行く | いらっしゃる | 参る・うかがう |
いる | いらっしゃる | おる |
言う | おっしゃる | 申す |
聞く | (お聞きになる) | 承る |
見る | (ご覧になる) | 拝見する |
新郎新婦の行動→尊敬語、 話者の行動→謙譲語 のルールに従っていくと、ちょっとやり過ぎかなぁ…という表現になるかもしれません。そのときは、“です・ます”調の丁寧語の表現にして構わないと思います。だけど、自分(話者)の行為に尊敬語を使ったり、新郎新婦の行為に謙譲語を使うのは、やはり大間違いだと思います。その辺、あべこべになっていないか、注意しましょう。
・・・えー、私がなにをやらかしてしまったかというと、新婦の行動に対して「(過去に○○して)おりました」と言ってしまったのです。いやさ、話を聞いている式の参列者の方々に対して敬意を…と意識しすぎてたんですよ!! その直後に「(自分が、○○して)おりました」という流れだったから、ついうっかり…。 ――と言い訳はあるんですが、どんな理由があろうと、いくらなんでも、新郎新婦の行動に謙譲語はダメです。
細かい言い回しをはっきり覚えているわけでないので、ちゃんと正しく言えていたなら良いのですが…思い返すと、やらかしてしまった気がします。(Nさん、ごめんなさい)
このようなことがないよう、もっと練習しておくべきでした。
敬語について上に書きましたが、本番で実際に話すときはこんなことはすっぱり忘れましょう。途中で言い間違いには気付かない方が幸せです。たとえ気付いても、気付かなかったことにして、話を先に進めてしまいましょう。…その方が、きっと誰も気づきません!
・・・ちなみに私も上記のミスは、夜、家に帰って発言内容を復習したときにようやく気付きました。ある意味、幸せにスピーチを終えることができました。
鯛のことを「目出鯛」などと書くと、いかにもおめでたい雰囲気が出てきます。
そのような言葉遊びから生まれてきたのが「忌み言葉」という考え方。
めでたい席でのスピーチには、縁起の悪い語感の言葉は避けましょう!ということなんですが、これにこだわりすぎてもしゃべりにくいので、よほど関心のある人が注意を向ければ良いかと思います。あくまで言葉遊びの延長線上のこと。
…私の場合は言葉遊びも嫌いじゃないし、もしかしたら聴衆に気にする人がいるかもしれないと思い、忌み言葉は極力排除する努力を払いました。
・終わりを連想させる言葉
(冷める、終わる、切れる、最後、)
・同じ言葉を繰り返す言葉(再婚をイメージさせるらしい)
(少々、長々、)
・再婚をイメージさせる言葉
(また、さらに、再び、)
一番最初に台本の下書きをしたときは、「少々」を使っていました。これは反省して、「少し」に変更。(その後、その文章自体を削除)
だいたい最終稿になったな…という段階に達して、古本屋でスピーチの本を眺めていました。そしたら「また」とか「さらに」が忌み言葉だと書いてあって、かなり焦りました。これは何の気ナシに、台本に入れていました。
またとかさらにの接続語は、場合によっては「そして」など別の言葉に言い換えることができそうです。
こういった言葉は、どうしても言ってはいけないわけではありません。可能ならば、言い換えてみる。言い換えができないならば、できるだけ言うのを止める。やめられないならば、気にせず言う…ということでよいでしょう。
ちなみに、スピーチのまとめとして「最後に…」などという言い方は、止めた方がよさそうです。それを言わなければならない理由はないのだから。「・・・以上でスピーチを終わります」でなく、「・・・以上を私のスピーチといたします」など、落ち着いて考えれば言い換え方はいろいろありそうですね。
披露宴では、「披露宴を終わりにします」→「お開きにします」、「スープが冷めないうちに」→「スープが温かいうちに」などという表現を耳にするかもしれません。これって、忌み言葉を使わない工夫なんですね。
台本を書くときは、最大限、失礼がないよう努力しましょう。
だけど実際に話すときは、すっぱりさっぱり忘れましょう。気にしすぎると、言葉が出なくなりますから。
台本ができたなら、あとはひたすら練習あるのみ。
練習の回数が多ければ多いほど、本番で気持ちが楽になると思います。
書き言葉と話し言葉は違うのだから、台本通りに話さなくてもいいでしょう。より自然な話し方を思いついたら、台本に書き加えておくといいかもしれません。
(台本通りに話さないとはいえ、台本を用意することをお勧めします。話す内容のチェックに便利です)
個人的に思っていることですが、「マイクを通した自分の声」を聞くように努力しましょう。そうすると、自分のスピーチを客観的に見ることができて、少し落ち着くかと思います。
緊張していると早口になりがちですので、意識的にゆっくり話すようにしましょう。
そして、プロのアナウンサーじゃないのだから“上手にしゃべれるわけがない”と開き直って、話すことにしましょう。緊張していて、当たり前です。
小手先の技かなぁ…と思って、特にここに記していなかったのですが、新郎に特に高く評価してもらったポイントなので、ご紹介します。
上では、他の話者と話題が被らないように…なんて書きましたが、同じ人物を紹介するのだから、「この人はこんな人物です」という部分は、似てしまって当然です。その根拠となるエピソードは違っているでしょうから、なにも気にすることはありません。
だけど。
せっかく同じ人物評を行うのならば、それも自分のスピーチに取り入れてしまいましょう。先にスピーチをした方の話を「引用する」のです。引用するといっても複雑なことを考え始めたら、せっかく覚えてきた自分のスピーチまで忘れてしまいそうです。
ここは単純にいきましょう。
先に話を終えた方の名前だけはっきり覚えておきましょう。そして元の台本で「彼はこんな人物です」という部分を、次のように変化させます。
まったく同じ人物評ならば──「先ほど○○さんがおっしゃっていたように、彼はこんな人物です」
少し違う人物評ならば──「先ほど○○さんは××とおっしゃっていましたが、それだけでなく、彼はこんな一面も持っています」
といった感じに。これならば、名前を覚えておくだけで簡単な引用になるでしょう。これに続く自分の台本も、ほとんど変更の必要はありません。
引用をすることで、聞いている人には、その人物像を一層印象づけることができるはずです。そして自分のスピーチが引用されたと想像してみてください。…まんざら悪い気はしないんじゃないかと思います。
一応、注意点としては、
・悪い人物評ならば、敢えて繰り返して印象づける必要はない。(そもそも悪いことを言う必要もない)
・先に話した人のエピソードを否定するような引用はしない。(人物評が一致しなかったならば、無理に引用しない)
・同じ人物評をした人の名前を間違えない。
・同じ人物評をした人が複数いたら、名前を言い忘れない。
といったことが挙げられるかと思います。後半、名前についてはスピーチ以前に礼儀の問題ですね。
ちなみに私は、人の名前を覚えるのが大の苦手。
新郎側主賓の方と新婦側主賓の方のスピーチを聞いて、これを引用しよう!と思った後で、お手洗いに隠れてお二方の名前を手のひらにペン書きしておきました。実際、自分で用意していた原稿を頭に入れることでもう手一杯、話している途中で名前が出てこなくなりました。念のためと思った手のひらのアンチョコ、活躍してしまいました。
…こっそり確認したつもりなんですが、そこにアンチョコがあったことは、他の方にもバレバレだったようですけど。
あまり良くない意味合いの言葉は、別の言い回しに変えた方がよいかもしれません。余計なことかもしれませんが、例を挙げると・・・
もとの意味と全く違うじゃん!と思っても気にしない。
良い方に誤解されるならばいいじゃないですか。
要は、お祝いの気持ちが伝わればOK なんです。それだけ念じて、マイクの前に立ちましょう。
もしマイクの前に立って、話す内容を忘れてしまったときは泣きながらこう言えばいいのです。
「あまりの嬉しさに、せっかく考えてきた言葉をすっかり忘れてしまいました。今日は本当におめでとう!」
本ではよく文例集などが売られています。
ひょっとするとネット上にも文例を集めた場所があるかもしれません。少し検索してみましょう。
→ Googleで検索した結果の例
上の方から順にリンク先を覗いてみてはいかがでしょうか。うまくいけば文例が載っているホームページに出会えるかもしれません。
うまくいってるといいのですが…。あとは適宜キーワードに手を加えてみてください。
(執筆時点ではどんなサイトが検索結果になるかわかっていません…)
(…その都度 Googleで検索した結果が出てくるので、2度目でも同じページが表示されるとは限りません)
((もっと良いキーワードのお勧めがあったら教えてください))