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まずは固有値を求める

固有値と固有ベクトルを規定する条件式として、

$\displaystyle \left(
\begin{array}{@{}cc@{}}
5-a & -2 \\
-4 & 7-a
\end{array}\right)
\vec{x}=0
$

を得ました。ここでもしも左辺の行列

$\displaystyle \left(
\begin{array}{@{}cc@{}}
5-a & -2 \\
-4 & 7-a
\end{array}\right)
$

に逆行列が存在したとすると、両辺の左からその逆行列を掛け算して、

$\displaystyle \vec{x}=0
$

という結論が出てしまいます。 だけど、

$\displaystyle \vec{x}=0
$

というのは、答えとして面白くない。そもそも固有ベクトルと呼べるものじゃな い。そこで、
$\displaystyle \left(
\begin{array}{@{}cc@{}}
5-a & -2 \\
-4 & 7-a
\end{array}\right)
$という行列には、逆行列は存在しない!
という要請をしましょう。

逆行列は存在しない
$ \Updownarrow$
$ \det
\left(
\begin{array}{@{}cc@{}}
5-a & -2 \\
-4 & 7-a
\end{array}\right)
=0
$

ということが言えますので、ここで行なった要請とは

$\displaystyle \det
\left(
\begin{array}{@{}cc@{}}
5-a & -2 \\
-4 & 7-a
\end{array}\right)
=0
$

ということです。

この要請を具体的に書き下すと、

$\displaystyle (5-a)\times(7-a)-(-2)\times(-4)=0
$

となります。まずは左辺を展開して、

$\displaystyle a^2-12a+27=0
$

この2次方程式を解くために因数分解すると、

$\displaystyle (a-3)(a-9)=0
$

となります。これで固有値 $ a$の値がわかりました。 $ (a-3)(a-9)=0$という 要請を満たすのは、$ a=3,9$です。

\framebox{固有値は、3と9 }

と分かりましたので、続いて固有ベクトルを求めましょう。 それぞれの固有値に対応する固有ベクトルが存在します。


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平成17年8月29日